二種類の企業群(利益剰余金が小で環境経営が大とその反対)が存在する事を初めて発見

keywords.jpg利益剰余金比率,環境経営,経済パフォーマンス,企業規模,パス解析 

早瀬 光司 

KOUJI HAYASE

division.jpg総合科学研究科 総合科学専攻 社会文明研究講座

position.jpg教授

共同研究者 : 陳 亭亭、呉 瑞奇、本田 智則、細田 衛士

研究概要

研究の背景

環境経営と経済パフォーマンスとの関係について、どちらがどちらを規定しているかについて様々な研究や議論がなされているが、その見解は互いに背反しているものも多く現状では定まった見解は存在していない。そこで、環境経営の指標として日本経済新聞社の環境経営度調査を、また、経済パフォーマンスの指標としてR&I信用格付けを採用してパス解析を行い、環境経営と経済パフォーマンスとの関係について、どちらが「規定する」または、「規定される」因子になっているのかを探求した。

研究内容

研究の対象とした企業は、東京証券取引所第一部上場企業とし、調査解析期間は2010-2013の4年間であった。また、上記の4年間に共通してデータを得られた企業は142社であった。企業規模指標と言われる売上高と従業員数の両者とから、新しい企業規模指標として「売従標準和企業規模」を初めて創出し、これによりパス解析において良い適合度が得られた。また、経済パフォーマンスをパスの根元に配置し、環境経営をその先に配置することにより、パス解析において良い適合度が得られた。即ち、経済パフォーマンスが規定する因子であり、環境経営が規定される因子であった。これは、企業は利潤を追求することがその根本の存在目的であるという事実とも整合していた。本研究における一番大きな発見は、利益剰余金比率から環境経営に対しての直接パスにおいて、有意な負のパス係数が得られたことであった。これは、調査対象企業において、利益剰余金比率が小さいと環境経営を強く推進し、利益剰余金比率が大きいと環境経営をあまり推進していないことを意味している。この事実から、調査対象企業は二種類の企業群に分類できることになった。即ち、利益剰余金比率が小さいが環境経営を強く推進している企業群と、利益剰余金比率が大きいが環境経営をあまり推進していない企業群である。このように、二種類の企業群が混在している為に、これまで、環境経営と経済パフォーマンスとの関係について、結論や見解が混在していたものと考えられる。今後は、この二種類の企業群の存在を念頭に置いて研究を進めることができれば、多くの新たな知見が得られるものと考えられる。

成果

売上高と従業員数の両者とから、新しい企業規模指標として「売従標準和企業規模」を初めて創出し、パス解析において良い適合度が得られた。経済パフォーマンスをパスの根元に配置し、環境経営をその先に配置することにより、パス解析において良い適合度が得られた。即ち、経済パフォーマンスが規定する因子であり、環境経営が規定される因子であった。これは、企業は利潤を追求することがその根本の存在目的であるという事実とも整合していた。本研究における一番大きな発見は、利益剰余金比率から環境経営に対しての直接パスにおいて、有意な負のパス係数が得られたことであった。これは、調査対象企業において、利益剰余金比率が小さいと環境経営を強く推進し、利益剰余金比率が大きいと環境経営をあまり推進していないことを意味している。この事実から、調査対象企業は二種類の企業群に分類できることになった。即ち、利益剰余金比率が小さいが環境経営を強く推進している企業群と、利益剰余金比率が大きいが環境経営をあまり推進していない企業群である。今後は、この二種類の企業群の存在を念頭に置いて研究を進めることができれば、多くの新たな知見が得られるものと考えられる。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

この分野に関心のある企業等との共同研究・受託研究は可能である。このテーマに関する講演,助言などが可能である。本研究の適用・応用について共同研究を希望する。

本研究の特徴・優位性

(1)東京証券取引所第一部上場企業のうち、調査解析期間(2010-2013の4年間)に共通して、142社の企業から有効なデータを得たことである。
(2)パス解析に習熟し、利益剰余金比率から環境経営に対しての直接パスにおいて、有意な負のパス係数を見逃さずに発見したことである。
(3)その有意な負のパス係数に関して、有意義で建設的な考察ができたことである。

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(1)Tin Tin Chen, Tomonori Honda, Eiji Hosoda,Kohji Hayase(2014) The Relationship between Environmental Management and Economic Performance: A New Model with Accumulated Earnings Ratio, Journal of Human Resource and Sustainability Studies, 2, 59-69.
(2)陳 亭亭、呉 瑞奇、本田 智則、早瀬 光司(2014)新たな企業規模指標の提案とこれを用いた影響分析 -環境経営度調査と債務信用格付けへのパス解析を用いて- 環境科学会誌、27(2)73-83.

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