伊予柑由来の植物乳酸菌が産生する新奇抗菌ペプチド

keywords.jpg抗菌ペプチド, 乳酸菌, バクテリオシン, クローニング 

野田 正文 

MASAFUMI NODA

division.jpg医歯薬保健学研究院

position.jpg特任講師

研究概要

研究の背景

 乳酸菌の中には、「バクテリオシン」と呼ばれる抗菌性ポリペプチドを産生する株が存在する。例えば, Lactococcus lactisはナイシン (nisin) という名のバクテリオシンを産生する。ナイシンは, 熱に強いがヒトの消化酵素によって容易に分解されることから, わが国では2009年3月, 安全性の高い食品保存剤として, その実用化が始まっている。
 薬剤耐性菌の報告が相次ぐ中, バクテリオシンは, 食品保存剤としての利用以外に, 細菌感染症の治療への応用面でも期待されている。事実, brevicin 174Aはリステリア菌や虫歯の起因菌の増殖を阻害する。本研究において, 臨床応用に先んじて産生制御系を含めた機能解析を実施することは, これまでにその濫用によって抗生物質が歩んできた, 薬剤耐性菌出現の歴史を繰り返さない為にも, 非常に意義深いものと考える。

研究内容

 Brevicin 174A生合成遺伝子とその周辺領域 (brevicin 174A生合成遺伝子クラスター) のクローニングおよび塩基配列の決定 (約10 kb) を行った。また, クラスターに含まれる遺伝子の機能解析を行った。

成果

 クローニングした塩基配列の解析の結果, クラスターは8つのORFから成ることが明らかとなった。各ORFに関する解析結果から, 【1】本バクテリオシンはそれぞれ単独でも抗菌活性を示し, かつ両者が共存した場合に相乗効果を示すこと, 【2】本バクテリオシンの産生制御機構は既存の三成分制御系とは異なった機構によるものである可能性, 【3】機能未知であった膜タンパク質がバクテリオシンに対する自己耐性因子 (免疫タンパク質) として機能すること, が明らかとなった。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

 バクテリオシンは生体に摂取された場合には, 速やかに消化酵素によって分解されるため, 環境中への残留性の低い抗菌化合物としての利用が期待される。

本研究の特徴・優位性

 本バクテリオシンの生合成遺伝子クラスターおよび自己耐性因子は, 当研究グループが初めて決定したものである。

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Wada, T, Noda, M, Kashiwabara, F, Jeon, HJ, Shirakawa, A, Yabu, H, Matoba, Y, Kumagai, T, Sugiyama, M, Characterization of four plasmids harboured in a Lactobacillus brevis strain encoding a novel bacteriocin, brevicin 925A, and construction of a shuttle vector for lactic acid bacteria and Escherichia coli., Microbiology, 155, 1726-1737, 2009

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