C型肝炎に関連する肝細胞癌への進展を予測する遺伝子マーカー

keywords.jpg肝細胞癌, 遺伝子多型マーカー, 

茶山 一彰 

KAZUAKI CHAYAMA

division.jpg広島大学

position.jpg理事

研究概要

研究の背景

肝がんは全世界のがん患者の中で、患者数で第 7 位、死亡者数では第 3 位と、がんの中で主要な位置を占めており、日本では年間の死亡者数が 3 万人を超えています。肝がんの約 7 割は C 型慢性肝炎ウイルスの持続感染により引き起こされる C 型慢性肝炎に起因しています。現在、日本の C 型肝炎ウイルス持続感染者数は 150 万人以上とも推定され、社会的にもその対策が急務となっています。しかし、これまで C 型慢性肝炎から肝がん発症に至る仕組みは十分に解明されていませんでした。

研究内容

理化学研究所ゲノム医科学研究センターとの共同研究によって、ヒトゲノム全体に分布する約 47 万個の SNP をマーカーとしたゲノムワイド関連解析を用いて、肝がんを発症した 212 人と発症しなかった 765 人、計 977人の日本人のC型慢性肝炎患者集団についてSNPと肝がんの関連性を調べ、関連性が高いSNPについてさらに、肝がんを発症した 710 人と発症しなかった 1,625 人、計 2,335 人の別の日本人の C 型慢性肝炎
患者集団についても関連性の有無を確認した。

成果

2段階のゲノムワイド関連解析の結果、DEPDC5遺伝子領域のSNPと肝がん発症の間には強い関連があることが分かりました。詳細な解析の結果、C 型慢性肝炎患者のうち、DEPDC5 遺伝子の遺伝子多型を持つ人は持たない人に比べて肝がんを発症する可能性が約 2 倍に高まることが分かりました。また、このリスクは既知の肝がん発症リスクである男性、高齢者、肝臓の線維化の進展した人でより高くなる傾向があることも分かりました。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

日本人の C 型慢性肝炎に起因する肝がん発症に関与する遺伝子が同定できました。これによって、今後、肝がんの発症の仕組みの解明や、新たな治療法・診断法の開発につながることが期待されます。

本研究の特徴・優位性

従来報告されている肝癌の遺伝要因の解析に使用されたサンプル数に比較して非常に大規模なサンプルを用いた解析によって同定された遺伝子マーカーである。また、近年肝癌に関するゲノムワイド関連解析はいくつか報告されているが、C型肝炎に起因する肝癌のみを選択的に予測するマーカーはこれまでに報告がなく、今回が初めてである。

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肝細胞がんへの進展予測マーカー(特願2012-27735)
Miki et al. Nature Genetics 2011;43:797–800

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