難治性慢性疼痛の症状特異性と心理社会的要因における定量的評価

keywords.jpg慢性疼痛,脳機能画像,神経障害性疼痛,疼痛学 

土井 充 

MITURU DOI

division.jpg医歯薬保健学研究院 統合健康科学部門

position.jpg助教

研究概要

研究の背景

口腔顔面痛外来を受診する患者において、最も多い疾患のひとつに、外傷性三叉神経ニューロパシーがある。
三叉神経ニューロパシーとは、外傷や手術、薬剤などで三叉神経が損傷された後に局所に遷延する異常感覚や疼痛のことをいう。外見上の所見を伴わないため見落とされがちで、長期経過の末、病態が複雑化した症例にもしばしば遭遇し、早期の的確な病態評価と適切な治療指針の確立が重要であると考えられた。

研究内容

三叉神経ニューロパシー患者において、初期の症状特異性と電気刺激閾値により、治療別に統計を取り、初期の臨床検査結果により予後診断ができないかを検討し、さらに、慢性化した症例での精神的要因を脳機能画像検査で評価することを考え、データの集積・統計処理を行った。

成果

症状特異性としては、知覚低下のみの症例では経過良好だが、dysesthesiaなど異常感覚を有する症例では経過が悪いことが分かった。また、電気刺激認識閾値で2.15mA以上を示すものも経過が悪いことが分かった。これらにより、新鮮例のニューロパシー症例ではある程度の予後を推測することができる可能性が示唆された。
脳機能画像評価に関しては、情動賦活試験下でのfunctional-MRI画像の変化などを併用しさらなる検討をする必要があると考えられた。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

さらなるデータの集積に努め、より再現性、信頼性の高い予後評価ができるように研究を進めていく。

本研究の特徴・優位性

痛みは他人とは共有できない感覚であり、痛みを感じる強さは侵害受容の大きさに単純に比例するのではなく個々のヒトの有する痛みを認知する要素に大きく左右される。本研究は、その中でも定量化できないと考えられる心理社会的要因を評価しようとした新しいものである。

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