海洋生物由来生理活性物質の探索と口腔がんに対する新規抗がん剤への応用

keywords.jpg海洋生物,生理活性物質,抗腫瘍効果 

吉岡 幸男 

YUKIO YOSHIOKA

division.jpg医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門

position.jpg助教

研究概要

研究の背景

地球上の大半を占める海洋をすみかとする海洋生物は地上の生物と異なった代謝システムや生理機能を有する.海洋生物由来生理活性物質のがん細胞に対する増殖抑制効果を指標に活性の高い物質を精製し口腔がんに対する新規抗がん剤への応用を目指す(名古屋大学 小鹿研究室との共同研究).

研究内容

・日本近海に生息する海洋生物を収集し凍結乾燥後,HPLCにてエタノール/メタノール(4:1)抽出をおこない,ヘキサン画分,酢酸エチル画分,水画分に分配する.得られた画分から抽出された化学物質に対しBio Assayを行い,がん細胞に対する細胞毒性を指標に活性の高い物質の構造をLC/MSを用いて構造を決定するととともに側鎖を改良した誘導体を合成する.ヌードマウス移植腫瘍に対する抗腫瘍効果を検討する.
・癌細胞や癌幹細胞に対する新規生理活性物質の抗腫瘍効果のメカニズムを解析する.
・新規生理活性物質の抗腫瘍薬としての創薬スクリーニングをヒトiPS細胞を用いて行う.

成果

・沖縄周辺海域に生息するカイメンより単離した天然生理活性物質 Spongolactamは構造解析の結果,(Rasをファルネシル化する酵素である)ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤に類似していることを発見した.その誘導体を多数合成しin vivoにおける機能解析をおこなった.
・沖縄産軟サンゴ(写真)より抽出した生理活性物質アシルスペルミジンの誘導
体はがん細胞に対しIn VitroおよびIn Vivoにおいて強力な抗腫瘍効果を示した.

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

創薬分野
分子標的治療薬などの抗がん剤だけでなく他疾患に効果のある薬剤の開発の可能性も秘めている.
ヒトiPS細胞を用いて新規生理活性物質の創薬スクリーニングを行う.

本研究の特徴・優位性

自然界に存在する海洋生物より抽出した生理活性物質のがん細胞に対する増殖抑制を指標に選択しLC/MSを用いて構造解析をおこなっているため,未知の生理活性物質を同定する可能性が高い.

detailsubtitle3.jpg

特許 Patent application number:PTC/JP2006/168926
論文 Kouhei Horikawa,Yukio Yoshioka,et al. Petrosiols A-E, neurotrophic diyne tetraols isolated from the Okinawan sponge Petrosia strongylata. Tetrahedron 69 101-106 2013.
Govindam V.S.S.,Yoshioka Y.,et al. Cyclolobatriene,a novel prenylated germacrene diterpene,from the soft coral Lobophytum pauciflorum. Bioorganic&Medicinal Chemistry 20(2012)687-692
平成14年5月15日付の読売新聞に掲載

お問い合わせ