腫瘍間質をターゲットとした消化管癌に対する新しい分子標的治療の開発

keywords.jpg分子標的治療,癌転移,癌・間質相互作用 

北台 靖彦 

YASUHIKO KITADAI

division.jpg医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門

position.jpg准教授

研究概要

研究の背景

これまで我々は癌転移における癌・間質相互作用の重要性を分子生物学的に解明することを目的に研究してきた。その結果を踏まえて、分子標的薬の併用により、癌細胞阻害だけではなく、同時に腫瘍間質反応を抑制する新たな治療法を開発したいと考えている。

研究内容

ヒト胃癌ならびに大腸癌のマウス同所性移植モデルを作成することにより、ヒトの腫瘍間質に類似した癌微小環境を構築し、間質細胞に過剰発現する分子に対する標的治療を行った。
また、分子標的薬単剤療法、あるいは標的の異なる二種類の分子標的薬の併用効果を検討した。

成果

胃癌や大腸癌では間質に存在する癌関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast; CAF)が血小板由来成長因子レセプター(PDGFR)を高発現し、PDGFR阻害剤により腫瘍間質反応やリンパ管浸潤が抑制されることを見出した。また、腫瘍内への骨髄由来細胞(MSC)の遊走も阻害された。mTOR阻害剤は腫瘍の増殖活性と血管新生を抑制する。mTOR阻害剤とPDGFR阻害剤との併用にて癌転移抑制効果がみられた。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

Geneticに不安定な癌細胞をターゲットとした治療には限界がある。活性化した間質細胞を抑える分子標的薬を開発したい。

本研究の特徴・優位性

これまでの抗癌剤は腫瘍細胞に対しての殺細胞性を重視したものがほとんどである。本研究では腫瘍微小環境を変化させて転移を抑制しようという発想が新しい点である。

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Onoyama M., Kitadai, Y., et al.:Combining molecular targeted drugs to inhibit both cancer cells and activated stromal cells in gastric cancer. Neoplasia, 15, 12, 1391-1399, 2013
Shinagawa K., Kitadai, Y., et al.:Stroma-directed imatinib therapy impairs the tumor-promoting effect of bone marrow-derived mesenchymal stem cells in an orthotopic transplantation model of colon cancer. Int J Cancer, 132, 4, 813-823, 2013.
Shinagawa K., Kitadai, Y., et al.:Mesenchymal stem cells enhance growth and metastasis of colon cancer. Int J Cancer,127, 1-11, 2010.
Sumida, T., Kitadai, Y., et al.: Anti-stromal therapy with imatinib inhibits growth and metastasis of gastric carcinoma in an orthotopic nude mouse model. Int J Cancer 128:2050-2062, 2011.
Kodama, M., Kitadai, Y., et al.: Expression of platelet-derived growth factor (PDGF)-B and PDGF-receptor beta is associated with lymphatic metastasis in human gastric carcinoma. Cancer Sci 101:1984-1989, 2010.

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