事態内視点の認知図式化に関する研究

keywords.jpg日本語,英語,主体性,主観性,事態把握,受身 

町田 章 

AKIRA MACHIDA

division.jpg総合科学研究科 総合科学専攻

position.jpg准教授

研究概要

研究の背景

認知言語学は,言語能力と他の認知能力は不可分であるとの立場を取り、自律的統語論を中心とした言語研究の限界を乗り越えることを目指している。そのため、認知科学一般の様々な研究と連携しながら複合的に言語を調査研究している。

研究内容

本研究の目的は、Langacker(1990, 2008)の認知図式では十分に記述しきれない言語現象があることを指摘し、Langackerの認知図式に修正案を提示することにある。Langackerの認知図式は、事態を認知主体が外から眺めるというステージモデルを前提としているが、このモデルでは事態内視点・事態外視点という視点の置き方の違いを図式化することができない。そのため、日本語のような事態内視点を多用する言語を正しく記述することができない。
 本研究では、認知図式をより精緻化し普遍性を高めることにより、認知文法をより包括的に言語現象を説明できる言語理論に高めることに貢献する。

成果

町田(2009)では、Langackerの枠組内でこの両者を区別するために主観的状況(SS)という認知領域を設ける修正案を提案した。この修正案のポイントは、OSを本来の定義通り客観的状況だけに限定し、認知主体Vからの「見え」を表す領域として主観的状況SSを設定したことにある。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

本研究は、実用化に向けたものではないが、日本語教育、英語教育、機械翻訳などに応用可能である。

本研究の特徴・優位性

上記の修正案を用いると、対象を表すガ格(水が飲みたい、幽霊が見える)などがLangackerの枠組みを厳密に用いても表せるようになる。そして、この事態内視点と参照点構造を用いた客体化を想定することにより、二重主語や間接受身などの項の増加現象を認知文法の枠組みで説明できるようになる。

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町田 章 (2011) 「日本語ラレル構文の形式と意味 -認知文法からのアプローチ-」大庭幸男・岡田禎之(編著)『意味と形式のはざま』, 英宝社, pp.163-177.

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