高耐熱性及び耐衝撃性を有する乳酸共重合体ステレオコンプレックスの合成とその性質

keywords.jpg高耐熱性,耐衝撃性,乳酸共重合体,ステレオコンプレックス,樹脂,ポリマー 

白浜 博幸 

HIROYUKI SHIRAHAMA

division.jpg産学・地域連携センター 産学連携センター

position.jpg准教授

研究概要

研究の背景

ポリラクチドすなわち、ポリ乳酸(PLA)は植物由来の資源循環型樹脂であり、石油由来の従来のプラスチックに置き換わる材料として今後の利活用が大いに期待されている。しかし、ポリアミド樹脂などに比べ融点が低く、耐熱性に劣っている。耐熱性を向上させる目的でポリ(L-乳酸)(PLLA)とポリ(D-乳酸)(PDLA)のステレオコンプレックス(SC-PLA)を調製する方法が検討されている。しかし、PLAホモポリマー同士のSC-PLAでは融点は向上しても、PLAの短所である硬くて脆い物性は改善できない。そこで、本研究では高耐熱性及び耐衝撃性(柔軟性)の両方の性質を有するPLA系材料を調製するため、乳酸共重合体ステレオコンプレックス(SC-Copoly(LA))のワンポット合成ならびにその性質を調査した1)。

研究内容

従来のSC-PLA及びSC-Coply(LA)2)調製法では各種ポリマーを合成後、両者を溶解混合してステレオコンプレックス化していた。本研究では、ステレオコンプレックス体をワンポットで合成する方法を試みた(図1)。尚、柔軟性を付与する共重合成分としてはε-カプロラクトン(CL)モノマーを用いた。物性としては融点などの熱的特性、引張強度などの機械的特性を調べた。また、これら共重合体の酵素分解性についても調査した。

成果

表1には得られたラクチド(LA:乳酸の環状二量体)とCL共重合体ステレオコンプレックスSC-Coply(LA-r-CL)の熱的特性を示す。ステレオコンプレックス体②の融点(Tm)は、ほぼ同一組成の通常の共重合体④に比べ、約40℃高くなっている。これはホモポリマー同士のSC-PLA体でも観察されたように(ホモポリマーよりもTmが40~50℃上昇する)、 SC-Coply(LA-r-CL)がワンポットで合成されたことを示すものである。共重合体のステレオコンプレックス化はX線回折法(XRD)によっても実証された。また、機械的特性の測定により、PLAに比べ、SC-Co poly②は約10倍、SC-Coply③は約100倍ほど破断伸度が上昇し、柔軟性、換言すれば耐衝撃性が向上していることが判明した。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

想定業界・用途:自動車内装材、家電製品の筐体、包装材料など。課題:反応(合成)時間の短縮、ラクチド(LA)モノマーが高価。企業への期待:LA(特にD-LA)モノマーの低価格化。

本研究の特徴・優位性

①PLAに比べ耐熱性及び耐衝撃性に優れている。②ワンポットで共重合体ステレオコンプレックスが合成可能な点。

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特許:出願予定。論文:1)日本化学会第92春季年会(2012), 講演予稿集III, p1024, 2) H. Shirahama, A. Ichimaru, C. Tsutsumi, Y. Nakayama, H. Yasuda, J. Polym. Sci. Part A: Polym. Chem. 2005 ,43, 438-454ほか。受賞:日刊工業新聞主催、第1回モノづくり連携大賞NEDO賞(2006)

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