水系生態系における藻類の鉄の摂取機構解明への新しいアプローチ-動力学に基づく比較-

keywords.jpg鉄,水系生態系,保全,藻場 

尾崎 則篤 

NORIATSU OZAKI

division.jpg工学研究院 社会環境空間部門 地球環境工学講座

position.jpg准教授

研究概要

研究の背景

河川,沿岸域の水系生態系の保全に関して森林の役割が注目されている.特に森林から鉄が供給されることによって豊かな沿岸域が生成するといわれている.しかし金属類である鉄はその価数や形態で生物利用性が大きく異なると考えられている.

研究内容

藻類はFe2+の平衡移動にともない供給されるFe2+を順々に摂取するのではないかと考えた.その可能性を検証するために代表的な藍藻類であるMicrocystis aeruginosaを用い藍藻の鉄摂取速度とFe2+の供給速度との比較をするという実験方法を考案し,検討した.

成果

右に河川水を高濃度に増殖したM. aeruginosaと混合した経時変化のFe2+への平衡移動速度と摂取速度との比較を示す.藻類がFe2+しか摂取できないのであれば藻類の取り込み量はFZ結合態鉄の増加を超えることはないはずであり,それが超えたということは対象とした藻類はFe2+以外の形態の鉄も有意に取り込むことができる可能性があるということが示された.
藻類添加系における鉄摂取量とFZ添加系におけるFZ結合鉄(=Fe2+の積算移動量)の比較; 上側のM. a系が溶存態鉄の経時変化; その減少量(=M. aeruginosaに取り込まれた量)とFZ結合鉄を比較したのが下側の図となる

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

沿岸生態系の修復技術として鉄の導入は有効な手段のひとつと考えられている.しかし必ずしも鉄を投入すればよいというものではなく,その形態の把握も重要である.本研究ではその把握のための新たな手段を提供するものである.

本研究の特徴・優位性

従来の研究では最初からある形態の鉄を投入して生物利用性を調べるというものであった.本研究では異なる鉄の形態の移行速度を比較するという手段をとっている.

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Kento Hirota, Noriatsu Ozaki, Tomonori Kindaichi, Akiyoshi Ohashi: Comparison of Dissolution Kinetics of Fe2+from Various Ferric Specie in River Water and Sewage Effluents. The 4th IWA-ASPIRE Conference & Exhibition,2-6 OC,2011,20-1-5

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