動電過給前濃縮による高感度キャピラリー電気泳動分析

keywords.jpg痕跡濃度イオン分析,動電過給前濃縮,キャピラリー電気泳動 

廣川 健 

TAKESHI HIROKAWA

division.jpg工学研究院 物質化学工学部門 応用化学講座

position.jpg特任教授

研究概要

研究の背景

キャピラリー電気泳動分析法(CE)は、分析の迅速性、メインテナンス、ランニングコスト、ローエミッションなどの点で優れた分析法であるが、装置のジオメトリーによる制約から、濃度感度は低いと評価されてきた。この点を改善するため、動電過給前濃縮と名付けた高感度化の手法を開発した。

研究内容

特殊なハードウエアに依存せず、従来広く使用されているUV検出器を備えたCE装置で高感度化を達成するためには、分離能を損なわずに可能な限り大量の試料を分離キャピラリーに導入する必要がある。このため、オンライン前濃縮法の併用が不可欠である。我々は過渡的等速電気泳動法と電気的試料導入法を組み合わせた新規なオンライン試料導入法(動電過給前濃縮法:Electrokinetic supercharging、EKS)を開発し、CEではサブppbレベルの金属イオンやDNA断片の分析が可能となることを示した。またその濃縮メカニズムをシミュレーションにより明らかにした。

成果

水中痕跡濃度の希土類イオン等の金属イオンについてICP-AESやICP-MSに比肩できる高感度化に成功した。具体的例として、右図に0.25 nM希土類イオンの分析例を示した。有機物イオンについては、DNA断片の高感度検出や揮発性有機酸による超純水汚染をモニターする事もできる。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

超純水の他、水道水、その他飲料水の成分管理等への応用が期待できる。河川水の分析などへの応用も考えられるが、現状ではデータ蓄積の多いイオンクロマトグラフィーの方が有利である。一方、新規に痕跡イオンの分析を考えている企業等には有用な方法となり得る。

本研究の特徴・優位性

従来、CE高感度化の目的には、レーザー励起蛍光(LIF)や質量分析(MS)等の高感度な検出法の使用など、ハードウエアの改良が行われてきた。いずれも有効な高感度化法であるが、例えばLIFの場合、対象は容易に誘導体化可能な試料に限定されるだけでなく、装置の簡便性・分析のコストパーフォーマンスが損なわれがちである。この点、本法は簡便なUV検出器で十分であるだけでなく、高度な検出法にも適用可能である。

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Another approach toward over 100000-fold sensitivity increase in capillary electrophoresis: Electrokinetic supercharging with optimized sample injection, Zhongqi Xu, K. Nakamura, A.R. Timerbaev, T. Hirokawa, Anal. Chem. 83, 398-401 (2011) . 日本分析化学会学会賞(2011)。

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