顎骨骨幹異形成症の原因遺伝子TMEM16E/GDD1の機能解析

keywords.jpg遺伝子,遺伝子産物,骨系統疾患,筋疾患 

水田 邦子 

KUNIKO MIZUTA

division.jpg医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門

position.jpg助教

研究概要

研究の背景

われわれ研究グループは常染色体優性の遺伝性骨系統疾患である顎骨骨幹異形成症(GDD)と常染色体劣性遺伝する肢帯型筋ジストロフィー(LGMD2L)の疾患責任遺伝子として全22エキソンからなる新規遺伝子TMEM16E/GDD1/ANO5 の同定に成功した(Tsutsumi S et al. ,Am J Hum Genet,2004,Bolduc V et al. ,Am J Hum Genet,2010).以降TMEM16E遺伝子産物の機能解析研究を行ってきた.

研究内容

TMEM16E遺伝子および遺伝子産物の役割を明らかにすることを目的として,TMEM16E蛋白の細胞内局在,組織分布の検討を行ってきた.

成果

マウスTMEM16E蛋白が膜貫通型の糖蛋白で,細胞内の低比重膜画分に多く存在することが明らかとなった.また,TMEM16は遺伝子ファミリー(TMEM16A~K)を形成しているがTMEM16A,TMEM16Bがカルシウム依存性Cl-チャンネルとして機能することが相次いで報告された. TMEM16E遺伝子産物はカルシウム添加の有無にかかわらずクロライドチャンネル活性を認めず,カルシウム依存性クロライドチャンネル機能とは異なった機能を持つことが予想される.また,TMEM16A との比較によりTMEM16E独自の特徴として,顕著なタンパク不安定性を見出すとともに,筋細胞特異的なTMEM16Eタンパクの安定化を見出した.

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

TMEM16E遺伝子は骨疾患のみならず筋ジストロフィーの疾患遺伝子としても同定されたことから,その機能を解明することは,骨粗鬆症や様々な筋疾患の病態の理解や治療法の確立に寄与する可能性がある.

本研究の特徴・優位性

GDDは日本で初めて疾患概念が定義され,また,原因遺伝子TMEM16Eの同定も本邦でなされた.
GDDの原因遺伝子のマッピングならびに同定はわれわれ研究グループが世界に先駆けて行ったものであり,現時点で他の追随を認めていない.

detailsubtitle3.jpg

・ Tran TT, Tobiume K, Hirono C, Fujimoto S, Mizuta K, Kubozono K, Inoue H, Itakura M, Sugita M, Kamata N: TMEM16E (GDD1) exhibits protein instability and distinct characteristics in chloride channel/pore forming ability.J Cell Physiol. 2014;229(2):181-190.
・ Bolduc V, Marlow G, Boycott KM, Saleki K, Inoue H, Kroon J, Itakura M, Robitaille Y, Parent L, Baas F, Mizuta K, Kamata N, Richard I, Linssen WH, Mahjneh I, de Visser M, Bashir R, Brais B:Recessive mutations in the putative calcium-activated chloride channel Anoctamin 5 cause proximal LGMD2L and distal MMD3 muscular dystrophies. Am J Hum Genet. 2010 Feb 12;86(2):213-21.
・ Mizuta K, Tsutsumi S, Inoue H, Sakamoto Y, Miyatake K, Miyawaki K, Noji S, Kamata N, Itakura M: Molecular characterization of GDD1/TMEM16E, the gene product responsible for autosomal dominant gnathodiaphyseal dysplasia. Biochem Biophys Res Commun. 357:123-32, 2007.
・ Tsutsumi S, Inoue H, Sakamoto Y, Mizuta K, Kamata N, Itakura M: Molecular cloning and characterization of the murine gnathodiaphyseal dysplasia gene GDD1. Biochem Biophys Res Commun. 331:1099-106, 2005.

お問い合わせ