ヒト疾患モデルマウスの作製と新規治療法開発への応用

keywords.jpg遺伝子改変マウス(トランスジェニックマウス,ノックアウトマウス,ノックインマウス),ES細胞,ヒト疾患モデルマウス 

本田 浩章 

HIROAKI HONDA

division.jpg原爆放射線医科学研究所 疾患モデル解析研究分野

position.jpg教授

研究概要

研究の背景

ヒト疾患においては、様々な変異遺伝子が同定される。しかし、当該遺伝子変異が疾患発症の原因や進展に関与するかどうかを検証するためには、それをマウスなどの動物個体内で発現させ、疾患の表現型が再現されるかどうかを確認する必要がある。また、この様にして作製されたマウスは、貴重な疾患モデルとして、疾患発症機構の解析や新規治療法の開発など、様々な用途に活用されることが期待される。我々は、発生工学的手法を用いて、様々な遺伝子改変マウスの作製を行っている。

研究内容

マウス作製の手法は、大きく1)DNA溶液をマウス受精卵前核に注入することにより作製するトランスジェニックマウス(図1)と、2)相同組み換えしたES細胞をマウス胚盤胞に注入することにより作製するノックアウトマウス・ノックインマウス(図2)に大別される。後者の手法から作製されたキメラマウスも図示する(図3)。我々はこれらの手法を用いて様々なマウスラインを樹立し、表現型の解析を行うと共に、疾患発症の病態生理の解明を行う。

成果

我々は、慢性骨髄性白血病(CML)の原因遺伝子と考えられているキメラ遺伝子p210BCR/ABLを造血前駆細胞で発現するトランスジェニックマウスを作製し、CMLの病態を呈するマウスラインの作製に成功した(図4)。このマウスは世界で初めてCMLトランスジェニックモデルの成功例であり、安定してp210BCR/ABLを子孫に伝達し、再現性良くCMLの病態を呈するところから、これまで多くの研究室に配付されCML研究に応用されている。また、我々は国内・国外の多くの大学や研究所と共同で数多くの遺伝子改変マウスを作製し、当該遺伝子の個体レベルでの機能解析、および疾患発症における関与について研究を行っている。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

ヒト疾患モデルマウスを作製し、疾患発症機構を解析するとともに新規治療法の開発を目指して実験を行っているため、医学業界・製薬業界などへの貢献が想定される。

本研究の特徴・優位性

発生工学的手法を用いることにより、目的遺伝子を発現増強したマウス、発現欠失したマウス、また点突然変異を導入したマウスなど様々な変異マウスラインを作製することが出来る。また、蛍光遺伝子を挿入することにより、目的遺伝子を可視化することも可能である。この技術を用いることにより、通常の遺伝子や細胞レベルの実験では解析することが出来ない、個体レベルでの遺伝子機能やヒト疾患への関与について検討することが可能となる。

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論文
1st, last, or corresponding author; PNAS (2011), J Immunol (2010), Hepatology (2010), Dev Biol (2010), Oncogene (2010, 1999), Blood (2000, 1999, 1998, 1995, 1994), Oncogene (2008), Nature Genet (1998)
Coauthor; Nature (2009), Immunity (2008), Human Mol Genet (2005), J Exp Med (2004), Mol Cell Biol (2004, 2000, 1997), Blood (2003, 1999, 1998), J Biol Chem (2002, 1997), EMBO J (2000), PNAS (1998)
受賞:
1) 日本血液学会奨励賞(1995)
2) 日本内科学会奨励賞(1998)
3) 日本癌学会奨励賞(2000)
4) Human Frontier Science Program Organization Long-Term Fellowship Award(2000)
5) 国際研究促進審議会(International Research Promotion Committee)国際金賞(2011)

その他:これまで我々の研究室で作製した多くの遺伝子改変マウスは理研バイオリソースセンターに寄託し、国内・国外の大学および研究所の使用希望者に配布を行っている。詳しくは、理研バイオリソースセンターのHP(「http://www.brc.riken.go.jp/lab/animal/」を参照のこと)

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