タバコ培養細胞に存在する3種類のエノン還元酵素の構造・機能解析

keywords.jpg植物培養細胞,エノン類還元酵素 

松嶋 亮人 

AKIHITO MATSUSHIMA

division.jpg自然科学研究支援開発センター

position.jpg助教

研究概要

研究の背景

植物には二次代謝に関与する酵素系が多く存在している。酵素を用いた有機合成反応の利点は、酵素が化合物の立体構造を固定し反応を触媒することで、キラリティを有する化合物を効率的に合成することである。タバコ培養細胞からはこれまで3種類のエノン還元酵素がえられており(図1)、機能解析を行っている。

研究内容

タバコ培養細胞に存在する3種類のエノン還元酵素の構造を、その遺伝子をクローニングすることにより解析している。また、得られた遺伝子を大腸菌で過剰発現することで機能解析している。3種類の還元酵素のうち二種類はすでに構造解析が終わり、残る一つの還元酵素の構造および機能を解析している。3種類の還元酵素はいずれもエノン類の炭素=炭素二重結合の還元を触媒しているが(図2)、基質の選択性、立体選択性が異なるため、これらを比較することで、還元酵素一般の基質選択性や立体選択性に新たな知見を得られる可能性がある。

成果

これまで、タバコ培養細胞から、プレゴン還元酵素、ベルベノン還元酵素の構造を解析してきた。大腸菌で発現したプレゴン還元酵素には立体選択性が無く、(Bovine serum albumin)を加えることで、立体選択性が向上した。したがって、プレゴン還元酵素には立体制御因子が存在する可能性が示唆された。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

この研究は医薬品中間体等への応用が期待できる。しかし、立体制御因子が特定されていないため、より正確な立体制御が必要となる。また、酵素反応の特徴として、基質の選択性があるため、酵素の立体構造のより詳細な情報が必要である。

本研究の特徴・優位性

酵素反応は厳密な立体制御と温和な反応条件が、一般の有機合成とは異なる。つまり、壊れやすい構造や、複数の官能基を有する化合物での局所的な反応を触媒することができる可能性がある。したがって、キラリティを生み出すことが必要でさらに、複雑な化合物である医薬品中間体合成への応用が期待できる。

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・Toshifumi Hirata, Akihito Matsushima, Yuya Sato 他5名, J. Mol. Cat. B: Enz,, 59, 158-162 (2009).
・Akihito Matsushima, Yuya Sato, Miki Otsuka 他3名, Bioorg. Chem, 36(1), 23-28 (2008).

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