絹タンパク質セリシンの新規機能性

keywords.jpgセリシン,血中脂質,血糖,アディポネクチン,腸内環境 

加藤 範久 

NORIHISA KATOU

division.jpg生物圏科学研究科 生物機能開発学専攻 食資源開発学

position.jpg教授

研究概要

研究の背景

絹タンパク質のセリシンは絹織物を作成するときに除去され、大量に廃棄されている。セリシンにはアミノ酸のセリンが多量に含まれており、保湿性が高く、プロテアーゼに対する抵抗性を有する点でユニークである。我々は、セリシンの強力な抗酸化作用の発見を突破口として、その新規生理作用を解明してきた。即ち、セリシン添加食を動物に与えると、大腸がん予防作用や便秘改善作用などが見られる。さらに、皮膚にセリシンを塗布すると紫外線照射による皮膚のダメージや皮膚がんの発症が著しく抑制される。

研究内容

本研究では、高脂肪食摂取ラットにセリシンを摂取させ、血中脂質や血糖、腸内疾病に関連するパラメーターへの影響を調べた。

成果

セリシンが血中のトリグリセリド、コレステロール、及びグルコースを低下させ、血中アディポネクチンを増加させる作用が見出された。さらには、腸内の有機酸や糞中IgAやムチンの増加作用が見出された。この結果から、セリシンが動脈硬化、糖尿病、大腸がん、及び大腸炎を予防する可能性が示された(図中で赤で示した)。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

医薬品、機能性食品、セリシンをコーティングした繊維加工など

本研究の特徴・優位性

廃棄物とされてきたセリシンに有用な機能が発見。食品・サプレメント・医薬品・繊維加工などの機能性タンパク質素材としての新たなモデル。

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1) Kato et al. Resistant protein; its existence and function beneficial to health. J Nutr Sci Vitaminol 48: 1 (2002).
2) Okazaki et al. Consumption of sericin reduces serum lipids, ameliorates glucose tolerance and elevates serum adiponectin in rats fed a high-fat diet. Biosci Biotechnol Biochem 74: 1534 (2010).
3) Okazaki et al. Consumption of a resistant protein, sericin elevates fecal immunoglobulin A, mucin, and cecal organic acids in rats fed a high-fat diet. J Nutr 141: 1975 (2011).

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