「むし歯菌・歯周病菌を抑えるヨーグルト」の研究開発

keywords.jpgむし歯,歯周病,口腔カンジダ症,糖尿病,動脈硬化症 

二川 浩樹 

HIROKI NIKAWA

division.jpg医歯薬保健学研究院 統合健康科学部門

position.jpg教授

研究概要

研究の背景

ヒトの口の中(口腔内)には700~800種類の微生物が生息し,これをオーラルフローラ(oral flora;口の中のお花畑の意味)と呼んでいる.オーラルフローラには,いわゆる悪玉菌(病原微生物・日和見感染菌)と善玉菌が混在している点で,腸内微生物叢と非常に類似点がある.私どもの研究では,このようなプロバイオティクスを口腔内にも応用できるかどうかについて検討してきた.

研究内容

むし歯罹患歴のない13人の協力者の口から42菌株の乳酸菌を分離し,ターゲットとして歯周病・むし歯そしてカンジダ菌に効果を持つ乳酸菌を探すこととし,分離した42菌株のうち,歯周病菌であるP.gingivalisに対する抑制効果の高い菌を選んだ.さらに,むし歯菌とカンジダ菌の両方に効果のある3菌株が得られた.
最終的にL. rhamunosusを使用してヨーグルトを作製し,ヒト試験(RCT)を行った.,学生ボランティア50名が毎日昼休みに1個,2週間食べるというもので,「新しいヨーグルト」を食べたグループでは,むし歯菌は80%以上,4種類の歯周病菌は40~90%減少させる効果が認められ,むし歯菌と歯周病菌を同時に抑制する効果が実証された.

成果

むし歯菌と歯周病菌の両者に効果を示す乳酸菌の報告はこれまでになく,歯科医療の現場や歯科医師会の活動を応援し,また,国民の口の健康を守りたいという思いを込めて「L8020菌」と8020
ヨーグルトという名前を付けた.

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

L8020 菌およびその培養上清を凍結乾燥し,口腔保湿ジェルあるいはタブレットなどをOEMによって製品化する企業を求める.

本研究の特徴・優位性

L8020菌のバクテリオシンも特定しており,むし歯菌・歯周病菌・カンジダ菌に広いスペクトルを示すだけでなく,歯周病菌のLPSの不活性化作用も認めている.LPSによる歯周組織の炎症(炎症性サイトカイン)により,Ⅱ型糖尿病・動脈硬化症など全身疾患の悪化が報告されているが,これら生活習慣病に対する予防的食品やタブレットの開発につながる.

detailsubtitle3.jpg

1.特願2009-168122「口腔内疾患の予防又は治療剤」PCT/JP2010/004626(出願日16.07.2010)「口腔内疾患の予防,改善又は治療剤」"Prophylactic, Ameliorating or Therapeuic Agent for Oral Disease"
2.PCT/JP2012/053020 発明の名称:「ラクトバチルス・ラムノーサス由来のバクテリオシン」出願人 国立大学法人広島大学 出願日 平成24年2月9日
Hiroki Nikawa, et al. Bovine milk fermented with Lactobacillus rhamnosus L8020 decreases the oral carriage of Streptococci mutans
and the burden of periodontal pathogens, Journal of Investigative and Clinical Dentistry (2011), 3, 187-196, 2011

お問い合わせ