粘膜恒常性炎症の構築・維持における大腸常在マクロファージ共生細菌とその発現産物の役割

keywords.jpg粘膜免疫・恒常性炎症・環境細菌・共生 

高橋 一郎 

ICHIRO TAKAHASHI

division.jpg医歯薬保健学研究院 基礎生命科学部門 粘膜免疫学研究室

position.jpg教授

研究概要

研究の背景

我々は環境細菌Stenotrophomonas maltophiliaによる粘膜常在マクロファージを起点とした粘膜恒常性炎症の構築維持機構を明らかにし、その成果を慢性炎症性疾患の新規予防法・治療法の開発に役立てることをめざしている。2013年度までに、①大腸粘膜常在マクロファージにプロテオバクテリア門に属する環境細菌種が共生していること、②なかでもS. maltophiliaを骨髄由来初代培養マクロファージに感染させるとIL-10の産生が亢進すること、③S. maltophiliaのみを定着したノトビオートマウスでは、大腸粘膜にIL-10+マクロファージやFoxp3+T細胞の数的増大が観察されること、また④貧栄養環境下S. maltophiliaが分泌するsmlt2713遺伝子産物においてもMyD88依存性にIL-10を産生することを明らかにしてきた。

研究内容

本研究では、大腸常在マクロファージ共生細菌とその発現産物による粘膜恒常性炎症の構築・維持機構の理解にもとづいた炎症性疾患制御をめざし、①Stenotrophomonas maltophiliaの大腸マクロファージ内部共生分子機構の解明、②Stenotrophomonas maltophiliaが本来の共生環境である大腸マクロファージを逸脱し異所性に寄生した際の病原性発現機構の解明に取り組む。

成果

2014年度は2013年度に確立した可視化smlt2713保有/欠損S. maltophiliaの各種自然免疫応答遺伝子欠損マウス由来骨髄マクロファージへの感染実験を実施し、S. maltophiliaの骨髄由来マクロファージにおける感染動態の顕微鏡レベルでの定性解析とマクロファージ内共生細菌数の定量解析を行った。その結果、S. maltophiliaの骨髄由来マクロファージ内共生成立に寄与する宿主側因子としてMyD88分子が必須であること、一方インフラマソーム複合体を構成するcaspase-1・NALP3を欠損したマクロファージ内では、生理的な共生状態を逸脱した巨大なStenotrophomonas-containing vacuolesが形成されることが明らかになった。したがってcaspase-1・NALP3などのインフラマソーム複合体構成分子はS. maltophiliaの細胞内共生維持因子としてとりわけ重要であることが示唆された (図参照)。またsmlt2713欠損株では野生株に比べ、マクロファージ内集簇共生細菌巣が著しく観察されることから、S. maltophilia側の共生因子としてsmlt2713が重要であることが示唆された。

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出願番号:特願2011-033867、発明の名称:「ポリペプチド、ポリペプチドの生産方法および大腸粘膜組織の免疫制御組成物」、出願人: 国立大学法人広島大学、国立大学法人東京大学、国立大学法人東京医科歯科大学、学校法人北里研究所.出願日:平成23年2月18日.

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