光誘起電子移動を利用した蛍光性水センサー色素の開発

keywords.jpg蛍光性色素,水分検出,センサー,光誘起電子移動,双性イオン構造  

大山 陽介 

YOUSUKE OOYAMA

division.jpg工学研究院 物質化学工学部門 応用化学講座

position.jpg准教授

研究概要

研究の背景

液体や固体試料中に含まれる水分を検出・定量できる蛍光性水センサー色素の開発は、工業製品や食品の品質管理、環境モニタリングなどの人間生活や環境保全の面で非常に重要である。

研究内容

本研究者らは有機溶媒中に含まれる微量水分を光誘起電子移動反応(Photo-induced Electron Transfer: PET)に基づいて検出できる新規なPET型蛍光性水センサー色素として、アントラセン‐アミノ酸型センサー1,2およびアントラセン‐ボロン酸エステル型センサー3を分子設計・合成した。本PET法は、無蛍光性(PET活性)のセンサー色素が水分子と接触することで蛍光性 (PET不活性) のイオン体1±,2±および3±を形成し、そのイオン体の生成量に伴う蛍光強度の増大を追跡するものであり、PETを利用した初めての蛍光分析による微量水分検出法である。

成果

色素3の各種溶媒中における水分量の検出限界は、1,4-ジオキサンでは0.2wt%、THFでは0.2wt%、アセトニトリルでは0.04wt%、エタノールでは0.04wt%であり、アントラセン‐ボロン酸エステル型構造は蛍光性水センサー色素として有望であることがわかった。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

本PET型蛍光性水センサー色素の応用展開として、PET型蛍光性色素を水センサーとして用いる場合、有機溶剤や大気中の水分検出および食品や工業製品中の水分検出剤としてや土木、建築材料、医療、医薬、化粧品および衛生材料への用途が考えられる。さらに、PET型蛍光性色素を分散させたフィルムを作製し、フィルムへの吸水・脱水をうまく制御することが出来れば、波長変換フィルムなどの多種多様な機能性材料の開発が可能であると期待される。実用化に向けて、低極性溶媒中での水分量の検出限界の改善を図ることが必要であり、そのためにはボロン酸エステルの導入位置や数の調整だけでなく蛍光発光母体の改良が課題である。

本研究の特徴・優位性

従来の近赤外線吸収法やカール・フィッシャー(Karl Fischer)法に比べて、本発明の蛍光分析法は測定が迅速で非常に高感度であるだけでなく、オンライン測定も可能といった点で優れている。したがって、本PET法は試料中の微量水分を検出し、水分濃度を数値化できる新たな蛍光分析法として期待できる。

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1)特願2009-249485, 2)特願2011-063291・Chem. Commun., 2011, 47, 4448-4450・1)中国電力技術研究財団 研究奨励賞, 2)有機合成化学協会 日産化学工業研究企画賞, 3)広島大学産学連携若手研究者支援プログラム 優秀賞, 4)日本化学会 若い世代の特別講演会講演者特別講演賞, 5)広島銀行 大学研究者助成事業表彰, 6)宇部興産学術振興財団 学術奨励賞, 7)有機電子移動化学研究会 有機電子移動化学奨励賞, 8)色材協会研究発表会 最優秀講演賞, 9)有機合成化学協会中国四国支部奨励賞, 10)有機合成化学協会 DIC研究企画賞

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