高効率スピン検出器を用いた高分解能スピン分解光電子分光装置

keywords.jpgスピン,光電子分光 

奥田 太一 

TAICHI OKUDA

division.jpg放射光科学研究センター

position.jpg准教授

研究概要

研究の背景

電子の電荷を利用するデバイスの発展が限界を迎えつつある中、電子のスピンを利用したスピントロニクスの実現が熱望されている。スピントロニクス研究においては、物質中の電子状態をスピンまで分離して観測する手法が必要だが、従来のスピン分解光電子分光は分解能が低く、高分解能化が求められていた。

研究内容

従来から一般的に用いられているMott型スピン検出器は検出効率が1/10000程度で非常に低効率なスピン検出方法であったが、これまで実用になっていなかった低速電子線のスピン依存散乱を用いたスピン検出器を新ターゲットを利用することにより実用化し、従来比100倍のスピン検出効率を持つスピン検出器の開発を行った。この検出器を用いることによりこれまでの10倍の高分解能でのスピン分解光電子分光装置の開発が可能となった。

成果

低速電子線を用いた高効率スピン検出器は、動作原理は確立されていたが、測定の不安定性から実用化が遅れていた。安定なターゲットの実現により、従来比100倍の高効率スピン検出器を実用化し、光電子分光装置に組み込むことにより、従来の10倍以上の高分解能スピン分解光電子分光を実現した。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

本装置が製品化できれば、スピントロニクス研究を行っている研究者が広く利用できるようになり、スピンを用いたデバイス研究を加速することが可能になると期待される。

本研究の特徴・優位性

従来のスピン検出器が高電圧(数10kV以上)を必要としたのに対し、本装置では数10V程度の低電圧で動作するため、装置設計、オペレーションなどが楽である。また、高効率化(従来比100倍)により高分解能化が可能となり、従来のスピン分解光電子分光(エネルギー分解能:数100meV、角度分解能:数度)に比べ10倍以上の性能向上(エネルギー分解能:数10meV以下、角度分解能:0.2度)が実現された。

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T. Okuda et al., Review of Scientific Instruments, 82,103302 (2011).
日本表面科学会 技術賞 (2011).

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