膝前十字靭帯再建術後の膝固定期間が半腱様筋腱採取後の腱再生と筋腱移行部の中枢側変位に与える影響 ―3D-CTによる評価―

keywords.jpg半腱様筋腱,再生,前十字靱帯,3D CT 

中前 敦雄 

ATSUO NAKAMAE

division.jpg医歯薬保健学研究院 統合健康科学部門

position.jpg助教

研究概要

研究の背景

膝前十字靭帯(ACL)再建の際に採取した半腱様筋腱が術後に再生することは、多くの研究で示されてきた。今回、ACL再建における半腱様筋腱採取後の筋腱移行部の中枢側変位、つまり半腱様筋の筋腹の中枢側への短縮が膝屈筋力に与える影響と、術後の膝関節外固定期間が筋腱移行部の中枢側変位に与える影響を、3D-CTを用いて評価した。

研究内容

研究1)ACL再建術の際に半腱様筋腱のみを採取した29例を対象とした。術後6、12ヶ月での3D-CT像にて、半腱様筋・腱移行部の中枢側変位を健側と比較して計測し、膝屈筋の最大トルク値との相関を評価した。
研究2)半腱様筋腱のみを採取した症例を、術後3日目から膝可動域・筋力訓練を開始する群(短期固定群、17例)と、膝を術後約2週間固定する群(長期固定群、15例)に分け、半腱様筋・腱移行部の中枢側変位を3D-CTを用いて各群で評価した。

成果

研究1)半腱様筋・腱移行部の中枢側変位の程度は症例により大きく異なっていた。術後6ヶ月では筋腱移行部が中枢側へ移動しているほど、膝屈筋の最大トルク値は有意に低下していた。術後12ヶ月では有意な相関は認めなかった。
研究2)筋腱移行部の中枢側変位の距離は、短期固定群(7.0 ± 1.7 cm)と長期固定群(7.3 ± 1.9 cm)との間で有意な差は認めなかった。また全例で半腱様筋腱の再生が認められた。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

CTのデータから腱などの組織強度がどの程度あるのかを調べる方法の開発が望まれる。

本研究の特徴・優位性

術後6ヶ月では筋腱移行部が中枢側へ変位しているほど膝屈筋の最大トルク値は低下しており、腱採取後の半腱様筋・再生腱複合体の形態変化が筋力に影響を与えることが示された。そのため膝屈筋の機能を保つためには筋腹の中枢側への短縮を防ぐことが必要であるが、術後の外固定期間は筋腱移行部の変位量に影響を与えなかった。今回の研究の観点からは術後の長期固定は必要でないことが示された。

detailsubtitle3.jpg

J Orthop Sci. 2012 Jan;17(1):39-45. Nakamae A, Deie M, Adachi N, Ochi M et al.
J Comput Assist Tomogr. 2005 Mar-Apr;29(2):241-5. Nakamae A, Deie M, Adachi N, Ochi M et al.

お問い合わせ