間質性肺炎の新規バイオマーカーの開発と治療戦略の確立

keywords.jpg特発性肺線維症,マイクロアレイ,バイオマーカー 

石川 暢久 

NOBUHISA ISHIKAWA

division.jpg医歯薬保健学研究院 応用生命科学部門

position.jpg講師

研究概要

研究の背景

特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis: IPF)非特異性間質性肺炎(Non-specific interstitial pnuemonia: NSIP)は肺胞上皮障害と線維芽細胞の増殖をもたらす炎症反応によって特徴づけられる。また,IPFとNSIPの鑑別はしばしば困難であるが,特発性間質性肺炎( idiopathic interstitial pneumonias : IIP)の分子メカニズムは十分に解明されていない。

研究内容

本研究の目的はIIPの病態を明らかにし,疾患特異的なバイオマーカーならびに治療標的を同定することである。外科的肺生検の際に採取された12症例のIIP(IPF 7症例,NSIP 5症例)の肺組織から抽出したmRNAを用いてマイクロアレイによる網羅的発現解析を施行した。マイクロアレイ解析はIllmina Human WG-6 v3 BeadChipsを用いて行った.クラスター解析をM.EisenによるClusterおよびTreeViewのソフトを用いて行った。また,得られた発現情報より発現上昇遺伝子と発現低下遺伝子を抽出した.さらに,発現上昇遺伝子の機能的分類を,the NIH DAVID online tools (http://david.abcc.ncifcrf.gov/home.jsp)を用いて行った。

成果

IIPの肺組織ではコントロールと比較して1594遺伝子が発現上昇していた。また,クラスター解析では,IPF 7症例とNSIP 5症例は159遺伝子で2群に分かれる傾向を認めたが,明確には分けることはできなかった。IIPで発現上昇している遺伝子は細胞周期,ABCトランスポーターならびにp53などのPathwayに関係している遺伝子が多かった。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

IIPにおける線維化に関与する分子メカニズムを明らかにした。IIPの新たな血清バイオマーカーならびに治療法の標的分子を複数同定しており,今後臨床応用を目指したい。

本研究の特徴・優位性

ゲノムワイドな遺伝子発現情報解析の進歩により,各疾患の遺伝的多様性と疾患に伴う体内の分子病態変化を網羅的にかつ迅速に解析することが可能になってきた。私たちは肺癌のゲノムワイドな遺伝子発現情報解析からバイオインフォマティックス解析,迅速血清診断システム,siRNAを用いた発現阻害実験などを駆使して効率的にスクリーニングする探索戦略を確立し,臨床応用が可能な新たな血清診断法の開発に至ることが可能であることを示してきた。本研究の特徴は,さらに完成度を高めた探索戦略をとることによって,間質性肺炎の新たな血清マーカーと治療法の開発を目指している点である。

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2008年 日本癌学会奨励賞 肺癌の新規血清診断バイオマーカーの同定と臨床応用に関する研究

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