植物の基礎代謝を変換する nMat1 遺伝子

keywords.jpg植物バイオ,基礎代謝,ミトコンドリア 

中川 直樹 

NAOKI NAKAGAWA

division.jpg生物圏科学研究科 環境循環系制御学専攻 環境評価論講座

position.jpg助教

研究概要

研究の背景

植物はセルロース等の様々な有用バイオマスを生産する。それらの生産には基礎的な炭素、窒素の代謝が本質的な役割を果たしている。植物細胞の基礎代謝は細胞質、葉緑体、ミトコンドリアの三者が巧妙に連携して進行する。近年、ミトコンドリア機能を制御する核遺伝子の研究が注目されている。

研究内容

我々が単離、分析している変異体 (css1) は、ミトコンドリアmRNA のイントロンをスプライスする因子をコードする核遺伝子 (nMat1) に変異があった。それによってミトコンドリア外で行われる有用物質生産に間接的に大きな影響が生じていた。一次代謝産物であるセルロース、可溶性アミノ酸、糖、脂質だけでなく、二次代謝産物であるアントシアニンの量も増加させることができた。これらの変化は、生育初期の芽生えで、育成培地の糖濃度が高いときに大きかった。

成果

植物のミトコンドリア機能を RNA レベルで制御する nMat1 遺伝子に、細胞全体の有用物質生産能の制御を行う機能があることを示した画期的な研究成果である。ミトコンドリアの機能制御を人為的に可能にすることで植物の有用代謝産物生産制御技術への応用が期待される。

実用化に向けて(想定業界・用途、課題、企業への期待など)

植物工場で育成するための高付加価値植物品種の開発などが考えられる。

本研究の特徴・優位性

本研究の成果(nMat1 遺伝子の機能低下による代謝変換)を実用植物に適用することで、健康維持等に役立つ成分を多く含む植物品種を育成できる可能性がある。nMat1 遺伝子の機能を低下させることで有用性質を得ることができるので、遺伝子組換えを用いる必要がない。

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Plant Cell Physiology 47(6):772-783 (2006)

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